名画パロディによせて


      
 私は50才の時(今から16年前)に私の好きな名画(人物画)を動物の擬大化で人形にしたいと思いつき、草案として29枚のデザイン画を描いている。
直感的にこの絵はこの動物で、と考えたのだが、今見ても他のものは思いつかないのだから不思議である。
そしてその時に
絵に合った動物を選ぶ。
プロポーションを同じにする。
年令を合わせ、ポーズと衣装を同じにする。
あまり大きくも小さくもしない。動物の実物大をさける。
顔・手は動物のまま、足は靴をはかせ人間と同じにする。
絵の品位を損なわないように心がける。
絵にない部分は想像して作るが、絵の邪魔にならないように気をつける。
と一応の決まりを書いている。
私は画家にはもちろんだが、特に描かれた側のモデルに気持ちを寄せながら制作している。
全ては直感から始まり、空想し、あたため、資料を探し、又、想像を膨らます。
材料を探し、染めて、染めて、布地をやわらかくしながらしわを出す。
動物でありながら人物でもある人形を作る過程は実に魅力的だ。
とても楽しい遊びごころのある世界である。
パロディとは有名作品を、滑稽化、諷刺化させたものを言うらしい。
が、私はふざけたつもりもなく、諷刺もなく、ただ好きな絵から想像し、会話し、自分の手を動かして人形作りを楽しんだのである。

さて、皆様は、楽しんでいただけたでしょうか?

尚、今製作中なのは、ゴッホ<自画像>トラ、ピカソ<息子>シロクマ、ルノアール<少女像>キツネ、アングル<夫人像>イノシシ、ダイク<少年>テリア犬、ドガ<踊り子>ウサギです。

2005年11月 紙谷元子